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1 2005年 07月 14日
帰国後間もない今年3月下旬、札幌のある集会の後援者の一人として名前貸しを頼まれた。「肩書きは何にしましょうか」という先方に、私の持つカリフォルニア州の資格に沿って「サイコセラピストにしたいのですが」というと、「?」という顔をされた。やはり、「サイコセラピー」といっても、まだまだ日本では通りが悪いらしい。結局「心理カウンセラー」ということで落ち着いた。その流れで、自分のオフィスの名称も、しぶしぶ「カウンセリングルーム」を採用することにした。
アメリカでも私の知る限り「カウンセリング」と「サイコセラピー」はほぼ同義語として使われているので、別にこだわることもなさそうであるが、どうも「カウンセラー」と名乗るのには抵抗がある。counselという英語は本来、「年長者や専門家からのアドバイス」という意味だ。だから「キャリアカウンセリング」「進路カウンセリング」などという文脈で使われる場合には文字通りの意味になるが、いわゆる「カウンセリング(心理療法)」の場合は、語義と実態が一致していないと思うからである。 症状が重い人に精神科の受診をすすめたり、不眠の人にカフェイン摂取量を減らしてみるように言ったりすることはもちろんあるが、心理療法の本来の目的は、アドバイスを与えることではない。カウンセラーの最大の仕事は、クライアントが自分の一番深い部分とつながり、恐怖心や目先の損得勘定(それは大抵奥底にある不安感から出てくるものである)、あるいは周囲の思惑にしばられない、その深いコアの部分から、そのときに自分が一番必要としていることを自分自身で決定するお手伝いをすることであると私は信じている。どんな人の中にも、その内なる叡智はそなわっている。人は本来、自分で自分を癒す力を持っているものなのだ。ただ、一人でそれを行うことは非常にむずかしいので、それをサポートするウィットネス(立会人)としてのセラピストがその場にいることは大きな意味を持つ。 そうした「カウンセラー」の立場を正確に表すのには、カウンセラーという名称よりも、「心理療法をする人」という意味の、「サイコセラピスト」の方が適切だと思う。「サイコセラピー」という言葉が、日本でももっと認知されることを願う私である。 というわけで、このHPの中では、「心理療法」「サイコセラピー」「セラピー」「カウンセリング」はすべて同義語として使わせていただきます。 ▲
by premacolumn
| 2005-07-14 09:59
| カウンセリング
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