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2013年 11月 20日
(天使大学学生相談室ニュース 2013年11月号より)
すっかり寒くなりましたが、皆さんお元気ですか?風邪などひいていませんか? 今回は、『 休むこと 』についてのお話です。 「本当にやりたいことがあったら、まず休んでみましょう」 こう言われると、みなさんはどう感じるでしょうか? 「えー、やりたいことがあるんだから、どんどん頑張ったほうがいいんじゃない?」と普通は思いますよね。 でも実は、「休む」というのは、とても大切なことなのです。 休むと、必要なエネルギーが自然にわいてくる 人間の自律神経系には、交感神経と副交感神経があります。人が活動を始めるときは交感神経が優位になり、休むときには副交感神経が優位になります。このふたつは、相互にバランスを取って働いています。交感神経がしばらく働くと、必ず副交感神経が働き始め、人間の心身を休息する方向へ持っていこうとします。 でも、やりたいこと(あるいは、やらなければならないこと)があるからと、どんどん活動ばかりしていて、「休みたい…」という身体の声を無視していると、どうなるでしょうか? 交感神経がいつも過剰に活動して、副交感神経がうまく働かないという状態になります。その状態が慢性化すると、いわゆる「自律神経失調症」と呼ばれる状態になります。 「とても疲れて」しまうのです。 そして、あんなにやりたいと思っていたことなのに、どうもやる気が出ない・・・最近よく眠れない・・・なんだかイライラする・・・頭痛がする・・・動悸がする・・・、といったいろいろな症状に悩まされることになります。 でも、ゆっくり休むと、活動に必要なエネルギーが自然にわいてくるのです。 美術館でのできごと ここで私の体験をひとつシェアしますね。 15年前、私が英国に留学していた時、クラス旅行でロンドンのナショナルギャラリーを見学する機会がありました。 ナショナルギャラリーというのは、英国最大の美術館のひとつで、所蔵絵画は約2300点もあるそうです。もちろん、すべてが展示されているわけではないでしょうが、仮に半分の1000点しか展示されていないとしても、一日ですべての絵画を見ることはほぼ不可能ですよね。 美術館や展覧会に行ったけれども、展示作品が多すぎて圧倒されてしまい、疲労困憊して、会場を出たあとに何を見てきたのかよく思い出せない・・・という体験をした方は結構いるのではないでしょうか。 旅行前のクラスで先生から私たちが言われたのは、 「ナショナルギャラリーに着いたら、まずコーヒーショップに行って休みなさい」ということでした。 「ゆっくり休んで元気が出てきたら、各展示室をさっさと早足で歩いて、 目を惹かれる絵があったら、立ち止まってその絵だけをゆっくり見なさい。 そして同じことを繰り返しなさい」 という指示だったのです。 当日、先生の言うとおりにまずお茶を飲んで一服し、 先生に言われたとおりに絵を見たら、素晴らしい芸術体験になりました。 じっくり見た絵はおそらく15点もなかったでしょうが、ひとつひとつの絵 の印象が鮮やかで、絵の持つエネルギーをゆっくり吸収することができ、 こちらもエネルギーをもらえてとても元気になったのです。 「まず休むこと」の大切さを初めて実感した体験でした。 休むって、どういうこと? そうは言っても、「休め休めって言われるけど、休むってどうしたらいいんだろう?」と思うかもしれませんね。 現代社会では、「休もうと思っても結局何かをしてしまって休めない」「いくら寝ても疲れが取れない」という状態に悩んでいる人は結構いると思います。 つまり、じっとして横になっていれば休んだことになるかといえば、そうではないのです。 これも私の体験なのですが、「研修で一日中頭を使う仕事をしてぐったり疲れた後、夜ズンバのレッスンを受けて汗をかいたらすっきりし、その後よく眠れた」ということがありました。 「一日に何人もの人にセラピーをして疲労困憊した後、友人と会い、たくさんおしゃべりしておいしいものを食べたら元気になった」ということもありました。 皆さんにも、そういう経験はありませんか? 実は、現代人の疲労は、「じっとしていること」によって起こることが多いのです。 じっと座って授業を聴く、じっと座ってパソコンに向かう、じっと座って会議に出席する、じっと電車の席に座ってスマホに釘づけになる・・・などなど。 「じっと座ってテレビを見る」というのも、そのときは頭を空っぽにできて楽に感じるかもしれませんが、テレビを消して眠ろうとすると、目が冴えてしまって眠れなかったりします。 「静止して、視覚のみ使う」という行動は、交感神経を過剰に活性化させ、人間を疲れさせてしまうのです。 こういう疲れをとるためには、その逆をするといいです。 すなわち、「身体を動かして、視ること以外の五感を使う」ことですね。 つまり、目からの刺激をなるべく避け、 ダンスやジョギングなどで適度に身体を動かしたり、 自然の中を散歩して木や風の音に耳を澄ませたり、 庭で土いじりをしたり、 おいしいものを食べておしゃべりしたりなどです。 過剰な視覚刺激と静止で疲れたあとは、これらのことをやってから休むと、楽に休めるようになります。 皆さんも、どうぞお試しください。
by premacolumn
| 2013-11-20 19:00
| からだと心
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